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2025.06.10
コラム
病院における防犯カメラの役割とは?プライバシー配慮と保存期間の考え方
病院やクリニックといえば、「安心・安全」が何よりも求められる場所です。
医療の現場には日々さまざまな人が訪れ、受付や診察、会計など、あらゆる場面で職員と患者、家族とのやりとりが交わされています。
そんな中、万が一のトラブルやクレーム、盗難、院内でのハラスメントといった問題に備える手段として注目されているのが「防犯カメラ」です。
しかし、「患者のプライバシーをどう守るのか?」「どこに設置すべきか?」「映像の保存期間はどれくらい?」といった疑問や不安を持つ医療関係者も少なくありません。
本記事では、病院に防犯カメラを導入する意義や、設置場所ごとの注意点、保存期間の考え方などを詳しく解説します。
・なぜ病院に防犯カメラが必要なのか? ・病院でオススメの防犯カメラの設置場所 ・プライバシーと防犯のバランスをどう取るか? ・病院での防犯カメラの保存期間は? ・まとめ |
なぜ病院に防犯カメラが必要なのか?
病院やクリニックは、治療や看護を提供する「安心・信頼」が最優先される空間です。
しかしその一方で、不特定多数の人が出入りする場所であり、医療現場ならではのトラブルやリスクも日常的に存在しています。
そうした背景から、近年では防犯カメラの設置が「セキュリティ対策の一環」としてだけでなく、「患者・職員の安心感を守るための環境整備」として注目されています。
医療現場に潜むリスクと具体的なトラブル事例
医療機関では以下のようなトラブルが起こりやすく、それが重大な問題に発展することも少なくありません。
・患者同士の言い争いや衝突
混雑した待合室や受付での順番・マナーをめぐる口論
・受付・会計時の金銭トラブル
「支払った・払っていない」といった主張の食い違い
・職員への暴言・暴力(カスハラ)
説明に納得できない患者や家族によるクレームや威圧的な対応
・薬品や私物の盗難・紛失
備品や個人の物が無断で持ち出され、犯人特定が困難なケース
・無断での侵入・徘徊
面会時間外の出入りや、認知症の高齢患者が院内を徘徊する事例も
こうした出来事は、医療従事者の心理的負担を高めるだけでなく、患者サービスの質や病院全体の信頼性にも影響を与えます。
防犯カメラが果たす「抑止力」としての役割
防犯カメラがあることで得られる大きな効果の一つが「抑止力」です。
カメラの存在を認識することで、人は無意識のうちに行動を慎重にし、不正や攻撃的な行動を控える傾向があります。
たとえば、患者やその家族が感情的になるのを抑えたり、不審者が院内に侵入したり徘徊したりするのを思いとどまらせる効果が期待できます。
また、職員同士の不適切なふるまいや、薬品庫・備品庫からの物品の持ち出しといった内部不正の抑止にもつながります。
こうした効果は、トラブルが起きてから対処するのではなく、トラブルそのものを未然に防ぐという観点で、非常に重要な役割を果たしています。
防犯カメラがもたらす安心感と信頼の効果
防犯カメラは、ただトラブルを防いだり証拠を記録したりするだけではなく、実際に設置された環境下では、以下のような「心理的安心」がもたらす効果も確認されています。
職員
「何かあっても映像で証明される」という安心から、落ち着いて業務に取り組める
患者
「安全な空間である」と認識することで、信頼感を持って通院できる
ご家族
「高齢者やこどもを安心して預けられる場所」としての評価が高まる
このように、防犯カメラの設置は「安心できる医療環境づくりの一環」であり、単なる監視装置ではなく、信頼される医療機関になるための基盤ともいえるのです。
病院でオススメの防犯カメラの設置場所
病院やクリニックに防犯カメラを設置する際は、「どこに」「何のために」設置するかを明確にしておくことが非常に重要です。
場当たり的な設置では十分な効果が得られないだけでなく、プライバシーの侵害や患者・職員との信頼関係に悪影響を及ぼすおそれもあります。
受付・エントランス
病院の「顔」となる受付や出入口は、来院者と最初に接する場所であり、トラブルの起きやすいポイントでもあります。
防犯カメラを設置することで、患者対応時のトラブル記録や、不審者の侵入防止に効果が期待できます。
- 来院者や外部の人物の出入りを記録し、不審者の侵入を防ぐ
- 受付職員への暴言・暴力などのハラスメント行為を抑止
- 金銭トラブルや物品紛失時の事実確認に活用できる
受付・エントランスは比較的プライバシーの問題が少なく、防犯カメラの設置による安心感を得やすい場所です。
目立つ場所にステッカーなどで「カメラ作動中」を掲示することによって、トラブルの抑止力も強化されます。
待合室・廊下
患者が複数人集まる待合室では、思わぬトラブルや事故が発生する可能性があります。
また、廊下では体調を崩した方が倒れてしまうなどの事例も考えられます。
カメラの設置は、そうした事態を迅速に察知する手段となります。
- 患者同士のトラブルや不審行動を把握し、早期対応につなげる
- 高齢者や体調不良者の急変などを記録し、迅速な救助に役立てる
- 院内設備の破損や物品の持ち出し防止にも効果的
待合室・廊下は高所から全体を見渡せる位置にカメラを設置することで、過度な監視感を与えずに安心を提供できます。 映像はリアルタイムでスタッフが確認できるようにすると、さらに効果的です。
スタッフルーム・薬品保管室
外部からの侵入だけでなく、内部からの不正やトラブルも医療機関の大きなリスクです。
特に薬品保管室やスタッフルームでは、高価な備品や私物が多く、監視の必要性が高まります。
- 薬品や医療機器の盗難・持ち出しを防止
- 勤務中の不正行為(横領や私的利用など)を抑止
- スタッフ間のトラブルや備品破損の記録・確認に活用
ロッカールームなどの私的空間の防犯カメラ設置は避ける必要がありますが、出入口や保管棚付近など、活動記録が合理的な場所に設置することで、問題の抑止と透明性を保つことができます。
駐車場・外周
病院の敷地は建物内だけではなく、駐車場や建物の周辺まで含まれます。
特に夜間帯は人の目が届きにくいため、防犯カメラによる常時監視が有効です。
- 車上荒らしや器物損壊などのトラブル防止
- 職員や訪問者の深夜帯の安全確保
- 敷地内への不審者の侵入を早期に発見
屋外設置には赤外線カメラや防水・耐久性の高い機種を選ぶことが推奨されます。
映像からナンバープレートや顔が確認できる画質があると、トラブル発生時にも有効です。
病室・処置室など
病室や処置室といったエリアは、患者の最もプライベートな空間であり、原則として防犯カメラの設置は控えるべき場所です。
<主な懸念点>
・ 治療や介助の様子を無断で録画することによるプライバシー侵害
・ 患者との信頼関係の崩壊リスク
・ 個人情報保護法や医療関連法規に抵触する可能性
<例外的なケース>
・ 自傷行為のリスクがある精神科病棟など(事前説明と同意が必須
・ 感染症隔離対応など、安全管理が最優先される状況
これらのケースでは、院内の倫理委員会の承認や医師・家族との十分な合意形成が必要です。
録画範囲・保存方法・閲覧制限など、運用ルールも明確にしておくべきです。
プライバシーと防犯のバランスをどう取るか?
病院に防犯カメラを設置するうえで最も慎重を要するのが、「プライバシーへの配慮」です。
医療の現場は、患者の個人情報や体の状態など、プライバシーに関わる大切な情報が集まる場所です。
監視の強化が安心につながる一方で、過度な記録や誤った運用は信頼の損失や法的トラブルを招くおそれもあります。
そこで重要なのが、防犯とプライバシーのバランスをいかにして取るかという視点です。
個人情報保護法と防犯カメラの関係を理解する
防犯カメラで録画された映像には、「顔」や「行動」、「診療を受けている様子」など、個人が特定できる情報が含まれます。
これは法律上、「個人情報」に該当し、その取り扱いには個人情報保護法をはじめとする関連法令の順守が求められます。
たとえば、原則、以下のような事柄を守る必要があります。
- 目的外利用の禁止
- 必要最小限の範囲での設置
- 正当な理由がある場合のみの閲覧・利用
法律に違反すれば、損害賠償や信用失墜だけでなく、医療機関としての機能そのものに影響を及ぼすこともあるため、法的リスクを正しく理解することが第一歩です。
録画映像の管理と閲覧ルールの整備
カメラの設置だけでなく、撮影された映像がどのように保管され、誰が見られるのかも非常に重要です。
適切な運用のためには、以下のようなルール整備が求められます。
- 保存期間をあらかじめ定める
- 映像へのアクセス権限を限定する(管理責任者のみ等)
- 閲覧・再生の履歴を記録に残す
- 定期的な録画機器の点検とセキュリティ管理
こうしたルールを明文化し、内部マニュアルとして職員に周知することで、「知らないうちに映像を使われていた」といったトラブルを防ぐことができます。
患者・職員への丁寧な説明と同意の取り方
たとえ防犯目的であっても、カメラの存在を相手に知らせず設置・運用することはトラブルの元になります。
特に職員や患者からすると、「常に監視されている」と感じさせるような使い方は、安心どころか逆に不信感を生む要因となりかねません。
そのため、以下のような配慮が重要です。
- カメラの設置場所を明示する掲示物を設置する
- 院内掲示板や入院案内で録画の有無を事前に説明する
- 職員に対しては、就業規則や契約書に記載して明確に合意を取る
「安心のためのカメラです」と目的を正しく共有し、撮影される側が納得していることが、防犯カメラ運用の信頼性を高めるポイントになります。
病院での防犯カメラ映像の保存期間は?
病院における防犯カメラの映像保存期間には法律上の明確な日数制限はありませんが、一般的には7日から30日程度が妥当な範囲とされています。
来院者の動線確認やトラブル対応を目的とする場合、多くの医療機関では30日以内で自動的に上書き・削除される設定を採用しています。
一方で、医療ミスやハラスメントなど、訴訟や警察対応に発展する可能性があるケースを想定する場合、60日〜90日間の保存を検討する病院もあります。
ただし、保存期間が長すぎると個人情報保護の観点からリスクが高まるため、「必要な期間だけ保存する」ことが基本方針です。
保存期間のポイントは「目的の明確化」
適切な保存期間を設定するためには、「何のために録画するのか」を施設側が明確にすることが重要です。
たとえば、出入口の監視の場合は、訪問履歴の確認や不審者対応が主な目的となるため、7日程度の短期間でも十分に対応できます。
一方で、受付での金銭トラブルや患者とのやり取りに関しては、問題が表面化するまでに数日から数週間かかることが多いため、30日程度の保管期間があると安心です。
特に「言った・言わない」の確認や、クレームの事実関係を整理するためには、ある程度の録画保管が必要になります。
録画目的と保存期間の関係を以下のように整理しておくと運用上もスムーズです。
録画の目的 | 推奨される保存期間 |
---|---|
一般的な防犯(出入口・廊下) | 7〜14日 |
トラブル対策(受付・待合室) | 30日前後 |
訴訟や警察対応を見越す場合 | 60〜90日(要管理体制強化) |
このように、病院ごとの運用目的に応じて柔軟に保存期間を設計し、明確化したルールを設けておくことが、トラブル防止と安心の両立につながります。
まとめ
病院における防犯カメラは、単なる監視機器ではなく、患者と職員の安心・安全を支える大切な仕組みです。
トラブルの抑止や記録としての役割はもちろん、映像が残っていること自体が、現場で働く人々や来院者の安心感につながります。
一方で、プライバシーへの配慮や法的なルールの理解も欠かせません。
設置場所や保存期間、運用ルールをしっかり定めたうえで、「見守るためのカメラ」であることを丁寧に伝えることが信頼につながります。
防犯カメラの適切な導入と運用は、信頼される医療環境づくりの一歩となることでしょう。
キャトルプランでは、お客様の様々な問題に対して、最適な提案をいたします。
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